メディケア生命『メディフィット リターン』は、独特の仕組みを持つ、扱いにくい医療保険です。

メディケア生命の医療保険『メディフィット リターン』の最大の特徴は、健康還付給付金です。
(加入するときに決めた)所定の年齢に達すると、それまでに払い込んだ保険料が、そっくりそのまま、まとめて戻ってきます。

他社の医療保険には、数年ごとに決まった金額が出る、健康祝金という仕組みがあります。

『メディフィット リターン』の健康還付給付金は、それと似ているようですが、全く異なる仕組みです。

その仕組みと、特徴を説明します。

健康還付給付金の仕組み

メディケア生命『メディフィット リターン』は、所定の年齢に達したら、それまでに払い込んだ保険料総額の100%または105%が、健康還付給付金としてもどってきます。

105%を選ぶと、保険料総額より5%増えて戻ってきます。ただし、保険料は100%より高くなります。

100%か105%のどちらにするかと、健康還付給付金を受け取る年齢は、加入するときに決めます。

もし、所定の年齢になる前に、保険から保険金・給付金を受け取ると、その金額は健康還付給付金から差し引かれます。

つまり、保険を使う使わないにかかわらず、所定の年齢までに、それまでに払い込んだ保険料総額の100%または105%を、受け取ることができます。

健康還付給付金の受取は1回だけ

健康還付給付金を受け取るのは1回だけです。
健康還付給付金を受け取った後も、保障はそのまま続きます。そして、これまでと同額の保険料を、一生涯払い続けます。

ということは、健康還付給付金を受け取った後は、ごく普通の、掛け捨ての医療保険になります。

健康還付給付金の仕組みだけ見ると、貯蓄型保険のようですが、商品全体で見ると、一概に貯蓄性商品とは言い切れません。

一般タイプの医療保険と比べて、トクすることもあれば、損することもある

『メディフィット リターン』は、特殊な仕組みであるため、一般的なタイプの医療保険と比べて、損なのかトクなのか、判断が難しいです。。

以下で、具体例をあげながら、トクになるケース、損になるケースを説明します。


月々の保険料が高い上に、健康還付給付金を受け取ってもなお、保険料総額は割高です。保険料面で、メリットは乏しいです。

『メディフィット リターン』は、本当のところ、おトクなのか損なのか?
メディケア生命が販売する、一般的な仕組みの医療保険『メディフィットA』と比べながら、具体的にご説明します。

1回あたりの保険料は、かなり高い

まず、『メディフィット リターン』の保険料を、『メディフィットA』と比較してみましょう。
入院給付金日額5,000円の、女性の月払い保険料です。保障内容は、パンフレットのお勧めプランです。

30歳 40歳 50歳
健康還付給付金100% 3,820 4,640 6,200
健康還付給付金105% 4,240 5,065 7,490
メディフィットA 1,575 1,995 2,840

健康還付給付金100%と105%では、保険料は105%の方が高額です。

とは言え、100%を選んでも、月々の払い込む保険料は、一般的な医療保険である『メディフィットA』と比べて、倍以上高いです。
入院給付金を増額したり、特約を付加したら、もっと高くなります。

後でもどってくると分かっていても、負担感のある金額です。

保険料の総額でも、『メディフィット リターン』はトクではない

1回あたりの保険料は高額な『メディフィット リターン』です。
しかし、『メディフィット リターン』の魅力は、健康還付給付金です。これのおかげで、生涯の保険料累計が安くなるはずです。

そこで気になるのが、一般タイプの医療保険と比べて、おトクなのか損なのか?というところです。

というわけで、同社の一般的なタイプの医療保険『メディフィットA』と、保険料総額を比較します。

健康還付給付金を100%とした場合

40歳の女性が、節目の年齢までに払い込む保険料の総額を下表に試算しました(87歳は、女性の平均寿命)。
なお、『メディフィット リターン』の健康還付給付金の受取年齢は、65歳としています。

健康還付給付金100%のときと、150%のときとで、分けて検証します。まずは、100%のときです。

年齢 メディフィット
リターン
メディフィット
60歳 1,113,560 478,800
65歳 0 598,500
80歳 835,200 957,600
87歳 1,224,960 1,125,180

よりわかりやすくするために、上表をグラフにしました。

メディケア生命『メディフィット リターン』の、保険料累計の推移グラフ

『メディフィットA』は、毎月1,995円の保険料をひたすら払い込み続けるので、保険料の総額は、年数に比例して増加します。

一方の、『メディフィット リターン』は、金額の増え方はハイペースですが、65歳のときにそれまでに払い込んだ全額が、健康還付給付金としてもどってきます。
ただし、それ以降は、再びハイペースで増加していきます。

そして、84歳のとき、つまり女性の平均寿命である87.05歳(2016年)より前の時点で、『メディフィット リターン』の方が、『メディフィットA』を追い抜きます。

ということは、『メディフィット リターン』に加入した人の過半数は、損をすることになります。

健康還付給付金を105%とした場合

上と同じ設定で、健康還付給付金を105%にした場合の、保険料総額を比較します。

年齢 メディフィット
リターン
メディフィット
60歳 1,215,600 478,800
65歳 -75,975 598,500
80歳 835,725 957,600
87歳 1,337,160 1,125,180

負担額の総計の変化をグラフにすると、以下のようになります。

メディケア生命『メディフィット リターン』の、保険料累計の推移グラフ

『メディフィット リターン』は、65歳でもらう健康還付給付金が、それまでの保険料総額より5%多くなります。よって、65歳の時点では、75,975円トクをすることになります(グラフでは、線が枠からはみ出しています)。

ただし、1回あたりの保険料が高いので、65歳以降は、100%のときより速いペースで、保険料総額は増加します。

結果としては、女性の平均寿命の87歳より前の、83歳のときに、『メディフィットA』を抜かしてしまいます。
100%のときは、84歳のときに『メディフィットA』を抜かしました。105%は、それより1年早いです。

100%より105%の方がおトクなのかと思ったら、実際は、105%の方が100%より、損になりそうです。何なんでしょうか、これは・・・

『メディフィット リターン』は、損になる危険が大きい

どうやら、『メディフィット リターン』は、健康還付給付金を受け取っても、保険料総額が安くなるとは限らないようです。
むしろ、一般的な医療保険より、高額になる可能性の方が大きいようです。

となると・・・

『メディフィット リターン』に、実質的なメリットは認められません。お勧めできません。

『メディフィット リターン』の活用法として、健康還付給付金を受け取った直後に解約する、という方法もあります。

上では、医療保険を一生涯継続する前提で、メリット・デメリットを検証しました。
その結果、『メディフィット リターン』には、メリットが認められませんでした。

ここで発想を切り替えて、健康還付給付金を受け取った直後に解約する、という活用法を、ご案内します。

保険を解約し、受け取った健康還付給付金を、老後の医療費に充てる

『メディフィット リターン』のデメリットを突き詰めると、1回あたりの保険料が高いために、健康還付給付金をもらった後の負担が重たい、というところに行き着きます。

そこで、健康還付給付金を受け取った直後に、『メディフィット リターン』を解約する、という方法があります。

たとえば、上の健康還付給付金100%の見積もり例ですと、65歳の健康還付給付金は、満額で1,392,000円になります(65歳前に保険を使ったら、健康還付給付金は減ります)。

医療保険を解約するかわりに、健康還付給付金には手を付けないで、残しておきます。そして、その後の入院費用に充てます。

70歳以降は、健康保険など公的医療制度のおかげで、医療費の自己負担割合は低くなります。健康還付給付金で乗り切れる可能性は、けっこうあります。

健康保険など公的医療保険の高額療養費制度を使うと、70歳以降の一般的な所得の人なら、入院費用の自己負担は1ヵ月あたり44,400円です。
1,392,000円のお金があれば、医療費だけなら、約31ヵ月分に相当します。乗り切れる可能性は、けっこうあります。

ある程度は、預貯金の裏付けが欲しい

健康還付給付金を受け取った直後に解約する、という方法は、こちらのねらい通りになれば、おトクです。生涯の保険料累計を、大幅に安くできます。

ただし、大きなリスクがあります。

思いがけず重大や病気・ケガのために、健康還付給付金では足りなくなるかもしれません。そうなってしまったら、預貯金をとりくずすことになります。

つまり・・・

健康還付給付金を受け取った直後に解約する方法は、老後の生活資金に余裕がないと、選択できません。

メディケア生命『メディフィット リターン』の、直接的な競合は、東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』です。

『メディフィット リターン』と同じような仕組みの競合商品には、東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』があります。

『メディフィット リターン』の方が後発商品なので、機能面では『メディフィットA』よりも強化されています。
ただし、保険料は、『メディカルKit R』の方が、安くなります。

機能面では『メディフィット リターン』の方が多彩

まず、健康還付給付金ですが、『メディフィット リターン』は100%か105%を選ぶことができました。

それに対して、『東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』は、100%(=れまでに払い込んだ保険料総額)のみです。

もっとも、上のとおり『メディフィット リターン』の105%は、メリットが乏しいので、優位な点と言えるかどうか・・・

また、『メディフィット リターン』は、標準でセットされている保障が、『メディフィットA』より手厚いです。

  • 7大生活習慣病と3大疾病による入院のときに、保障される入院日数が自動的に延長される。
  • 手術給付金の金額が、『メディフィットA』より大きい。
  • 手術給付金が、骨髄移植術もカバーしている。

『メディフィット リターン』の方が、保険料は高額

『メディフィット リターン』と『メディフィットA』の保険料を、できるたでけ条件を近づけて、比較しました。『メディフィット リターン』は、健康還付給付金100%のプランです。

50歳男女が、70歳のときに、保険料累計と同額の健康還付給付金を受け取る、という設定です。入院給付金日額5,000円として、見積もりました。

メディカルKit
R
メディフィット
リターン
男性 5,544円 6,620円
女性 4,874円 6,200円

上で説明したように、『メディフィット リターン』の方が機能が豊富なので、保険料が少々高くなるのは、やむを得ないことです。
とは言え、意外と差は大きいです。

実は、この保険料の差が、大きな意味を持ちます。以下で説明します。

保険料総額では、『メディカルKit R』の方が優位

『メディフィット リターン』より、『メディカルKit R』の方が、保険料の価格設定は安いです。実は、この差が大きな意味を持ちます。

40歳の女性が、メディケア生命『メディフィット リターン』『メディフィットA』、そして東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』の3商品に加入したときの、保険料の総額を、グラフに表します。
見積もりの条件設定は、上の保険料比較と同様です。

なお、『メディカルKit R』は、健康還付給付金を受け取る年齢が70歳になります(65歳を指定できません)。

東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』とメディケア生命『メディフィット リターン』の、保険料総額の比較

線が3本なので、見にくくなっています。このグラフの重要なところは、70歳以降の線の動きです。

『メディフィット リターン』(紺色の線)は86歳のとき、つまり平均寿命の87歳より前に、一般タイプの『メディフィットA』(オレンジ色の線)を抜き去ります。
ということは、『メディフィット リターン』は、一般的な医療保険より費用がかかる危険性が高いです。

一方、東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』(緑色の線)が、『メディフィットA』(オレンジ色の線)を抜かすのは、98歳のとき(グラフの外側)です。平均寿命より、10年ほど後です。
『メディカルKit R』なら、一般的な医療保険よりトクになる可能性が高いことになります。

さすがに、このタイプの医療保険を開発した東京海上日動あんしん生命の商品だけあって、ポイントを押さえています。
これに比べると、『メディフィット リターン』の方は、商品として未熟です。

健康還付給付金のある医療保険なら、東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』をお勧めします。

他社の医療保険の健康祝金は、『メディフィット リターン』の健康還付給付金とは、異なる性質のものです。

いくつかの医療保険では、特則や特約を付けると健康祝金が出る仕組みをとっています。

健康祝金は、健康還付給付金と名称が似ています。しかし、仕組みは異なります。

健康祝金は、数年ごとに、所定の金額がもどる

健康祝金の特則や特約を付加すると、保険を使っていないことを条件に、数年ごとに、所定の金額が出ます。

たとえば、メットライフ生命の医療保険『フレキシィS』だと、5年ごとに5~10万円の健康祝金が出ます。
ただし、その5年の間に、継続10日分以上の入院給付金を受け取っていたら、健康給付金は出ません。

医療保険の健康祝金の仕組み

ただし、健康祝金として戻ってくる金額は、払い込んだ保険料よりずっと少ない金額です。以下で実例をご覧いただきます。

見方によっては、健康祝金を貯蓄と呼べなくはない

メットライフ生命の医療保険『フレキシィS』を例に、健康祝金の損得を説明します。

30歳女性が、シンプルコースに、入院給付金日額5,000円で加入するとします。
そのときの、保険料や健康祝金は、下表のようになります。

5年ごとの健康祝金 5万円
医療保険の保険料5年分 137,820円
(月々2,297円)
健康祝金の保険料5年分 39,900円
(月々665円)

医療保険の保険料全体で見ると、5年間に137,820円払い込んで、もらえる健康祝金は5万円です。まったく貯蓄になっていません。

ただし、健康祝金(健康祝金特則)だけの保険料で見ると、39,900円払い込んで、健康祝金5万円をもらえるので、かなりおトクです。
5年の積立預金に置き換えて考えると、年利8.9%という、イマドキでは素晴らしい利回りです。

つまり、医療保険に加入するついでに、有利な積立預金をする、と割り切れるなら、けっこうおトクです。


専門家に相談しながら、主要な医療保険の見積もりを実際に比較できるのは、保険ショップです。

このページでお見せしたのは、特定の見積もり条件での結果です。見積もり条件を変えると、結果も変わるかもしれません。

いずれにせよ、健康還付給付金がある医療保険は、取り扱いが難しいです。印象や思い込みで判断するのは避けたいです。

もし、この商品に興味をお持ちで、前向きに検討したいということなら、専門家の意見に耳を傾けることを、お勧めします。

保険ショップは、身近な保険の専門家集団

保険の専門家にもいくつかありますが、お勧めするのは全国チェーンの保険ショップです。

気軽に利用できますし(断りやすさを含めて)、一店舗あたりで取り扱う商品数が多いです。『メディフィット リターン』を含めて、主要な商品の見積もりを、一つの店舗で比較検討できます。

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 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。