東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』は、独特の仕組みを持つ、扱いにくい医療保険です。

東京海上日動あんしん生命の医療保険『メディカルKit R』の最大の特徴は、健康還付給付金です。
(加入するときに決めた)所定の年齢に達すると、それまでに払い込んだ保険料が、そっくりそのまま、まとめて戻ってきます。

他社の医療保険には、数年ごとに決まった金額が出る、健康祝金という仕組みがあります。

『メディカルKit R』の健康還付給付金は、それと似ているようですが、全く異なる仕組みです。

その仕組みと、特徴を説明します。

健康還付給付金の仕組み

東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』は、所定の年齢に達したら、それまでに払い込んだ保険料の総額が、健康還付給付金としてもどってきます。

健康還付給付金を受け取る年齢は、加入するときに決めます。

もし、所定の年齢になる前に、保険から保険金・給付金を受け取ると、その金額は健康還付給付金から差し引かれます。

つまり、保険を使う使わないにかかわらず、所定の年齢までに、それまでに払い込んだ保険料の総額を受け取ることができます。

健康還付給付金の受取は1回だけ

健康還付給付金を受け取るのは1回だけです。
健康還付給付金を受け取った後も、保障はそのまま続きます。そして、これまでと同額の保険料を、一生涯払い続けます。

ということは、健康還付給付金を受け取った後は、ごく普通の、終身保障・終身払いの医療保険になります。

ただし、一点注意が必要です。
『メディカルKit R』の保険料は、通常タイプの医療保険と比べて、かなり高い料金設定になっています。

よって、健康還付給付金を受け取った後は、他より高い保険料を、生涯払い続けることになります。

一般タイプの医療保険と比べて、トクすることもあれば、損することもある

『メディカルKit R』は、特殊な仕組みであるため、一般的なタイプの医療保険と比べて、おトクになるケースもあれば、損になるケースもあります。

加入のしかたより、加入後の保険の使い方によって、損か得かが決まります。
保険の使い方と言っても、いつなんどき病気・ケガで入院するかはわかりません。けっこう運に左右されます。

以下で、具体例をあげながら、トクになるケース、損になるケースを説明します。


東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』に加入して、トクになるか、損になるかは、加入後の保険の使い方によって決まります。

『メディカルKit R』を検討するときに、悩ましいのは、加入後の保険の使い方によって、トクすることもあれば損することも、という点です。

東京海上日動あんしん生命が販売する、一般的な仕組みの医療保険『メディカルKit NEO』と比べながら、具体的にご説明します。

『メディカルKit R』の1回あたりの保険料は、かなり高い

まず、『メディカルKit R』の保険料を、『メディカルKit NEO』と比較してみましょう。
入院給付金日額5,000円の、女性の月払い保険料です。保障内容は主契約+先進医療特約です。
なお『メディカルKit R』は、健康還付給付金を70歳で受け取る設定で、保険料を算出しました。

30歳 40歳 50歳
メディカルKit R 3,369 4,194 4,874
メディカルKit NEO 1,469 1,669 2,234

ご覧のように、月々の払い込む保険料は、『メディカルKit R』の方が、倍以上高いです。
入院給付金を増額したり、特約を付加したら、もっと高くなります。

後でもどってくると分かっていても、負担感のある金額です。

単純に保険料の総額を比較すると、どちらがトクとも決めにくい

1回あたりの保険料は高額な『メディカルKit R』です。
しかし、『メディカルKit R』の魅力は、健康還付給付金です。これのおかげで、生涯の保険料累計が安くなるなら、検討する価値はあります。

というわけで、同じ会社のもう一つの医療保険『メディカルKit NEO』と、保険料総額を比較します。

40歳の女性が、節目の年齢までに払い込む保険料の総額を下表に試算しました(87歳は、女性の平均寿命)。
なお、『メディカルKit R』の健康還付給付金の受取年齢を70歳としています。

年齢 メディカルKit
R
メディカルKit
NEO
60歳 1,006,560 400,560
70歳 0 600,840
87歳 855,576 941,316
90歳 1,006,560 1,001,400

よりわかりやすくするために、上表をグラフにしました。

東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』の、保険料累計の推移グラフ

『メディカルKit NEO』は、毎月1,669円の保険料をひたすら払い込み続けるので、保険料の総額は、年数に比例して増加します。

一方の、『メディカルKit R』は、金額の増え方はハイペースですが、70歳のときにそれまでに払い込んだ全額が、健康還付給付金としてもどってきます。
ただし、それ以降は、再びハイペースで増加していきます。

そして、90歳の時点では、『メディカルKit R』の方が、『メディカルKit NEO』を追い抜きます。

ちなみに、2016年の女性の平均寿命は87.05歳です。87歳の時点では、『メディカルKit R』の方が保険料総額は少ないものの、3年後には逆転されます。

どちらかというと、『メディカルKit R』の方がおトクに感じられますが、微妙なところです。

70歳前に保険を使ったら、損になりやすい

上と同じ設定で、健康還付給付金を受け取る前、たとえば60歳のときに、医療保険から20万円の給付金を1回受け取ったと仮定します。

保険料から給付金20万円を差し引いた、実質的な負担額の総計を、『メディカルKit R』と『メディカルKit NEO』とで比較します。

年齢 メディカルKit
R
メディカルKit
NEO
60歳 806,560 200,560
70歳 0 400,840
87歳 855,576 741,316
90歳 1,006,560 801,400

負担額の総計の変化をグラフにすると、以下のようになります。

東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』の、保険料累計の推移グラフ

『メディカルKit R』の場合、健康還付給付金をもらう70歳までは、負担額が20万円少なくなります。
ただし、70歳以降は、保険を使わなかったときと、同じ負担額になります。

他方の『メディカルKit NEO』は、20万円の効果が、最後まで続きます。

グラフのように、80歳を過ぎて間もなく、『メディカルKit R』は『メディカルKit NEO』を追い抜きます。
女性の平均寿命は87.05歳なので、このケースでは、『メディカルKit NEO』の方が、おトクになる確率が高いです。

70歳より後で保険を使った場合、損得は微妙

今度は、健康還付給付金を受け取った後、たとえば80歳のときに、医療保険から20万円の給付金を1回受け取ったと仮定します。

保険料から給付金20万円を差し引いた、実質的な負担額の総計を、『メディカルKit R』と『メディカルKit NEO』とで比較します。

年齢 メディカルKit
R
メディカルKit
NEO
60歳 1,006,560 400,560
70歳 0 600,840
87歳 655,576 741,316
90歳 806,560 801,400

負担額の総計の変化をグラフにすると、以下のようになります。

東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』の、保険料累計の推移グラフ

このケースでは、平均寿命の3年後、90歳頃に『メディカルKit R』が追い抜きます。

『メディカルKit R』と『メディカルKit NEO』果たしてどちらがおトクなのか、微妙なところです。

『メディカルKit R』のメリットは微妙

結局、どういう切り口で判断するかによって、『メディカルKit R』の見え方は変わります。

いつ医療保険から給付金を受け取るか、いくら受け取るか、何回受け取るかなどによって、損か得かの結末は違ってきます。
いつ病気・ケガで入院するかは、そのときにならないとわかりません。すなわち、損かトクかは、運に左右されます。

そう考えると、『メディカルKit R』は危なっかしい医療保険です。
1回あたり保険料が高額なのに、メリットの有無がはっきりしないわけですから・・・

一生涯の医療保障として、『メディカルKit R』をお勧めしにくいです。

『メディカルKit R』の活用法として、健康還付給付金を受け取った直後に解約する、という方法もあります。

上では、医療保険を一生涯継続する前提で、メリット・デメリットを検証しました。

ここで発想を切り替えて、健康還付給付金を受け取った直後に解約する、という活用法を、ご案内します。

保険を解約し、受け取った健康還付給付金を、老後の医療費に充てる

『メディカルKit R』のデメリットを突き詰めると、1回あたりの保険料が高いために、健康還付給付金をもらった後の負担が重たい、というところに行き着きます。

そこで、健康還付給付金を受け取った直後に、『メディカルKit R』を解約する、という方法があります。

たとえば、上の見積もりの例ですと、70歳の健康還付給付金は、満額で1,468,800円になります(70歳前に保険を使ったら、健康還付給付金は減ります)。

医療保険を解約するかわりに、健康還付給付金には手を付けないで、残しておきます。そして、その後の入院費用に充てます。

70歳以降は、健康保険など公的医療制度のおかげで、医療費の自己負担割合は低くなります。健康還付給付金で乗り切れる可能性は、けっこうあります。

健康保険など公的医療保険の高額療養費制度を使うと、70歳以降の一般的な所得の人なら、入院費用の自己負担は1ヵ月あたり44,400円です。
1,468,800円のお金があれば、医療費だけなら、約33ヵ月分に相当します。乗り切れる可能性は、けっこうあります。

ある程度は、預貯金の裏付けが欲しい

健康還付給付金を受け取った直後に解約する、という方法は、こちらのねらい通りになれば、おトクです。生涯の保険料累計を、大幅に安くできます。

ただし、大きなリスクがあります。

思いがけず重大や病気・ケガのために、健康還付給付金では足りなくなるかもしれません。そうなってしまったら、預貯金をとりくずすことになります。

つまり・・・

健康還付給付金を受け取った直後に解約する方法は、老後の生活資金に余裕がないと、選択できません。

東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』の、直接的な競合は、メディケア生命『メディフィット リターン』です。

『メディカルKit R』と同じような仕組みの競合商品には、メディケア生命『メディフィット リターン』があります。

『メディフィット リターン』の方が後発商品なので、機能面では『メディカルKit R』よりも強化されています。
ただし、保険料は、『メディカルKit R』よりもっと高額です。

簡単には、優劣を決めつけられません。

『メディフィット リターン』なら、増えて戻ってくることも

メディケア生命『メディフィット リターン』にも、健康還付給付金はあります。それも、2パターンから選べます。

『メディカルKit R』の場合、健康還付給付金の金額は、それまでに払い込んだ保険料総額でした。

それに対して、『メディフィット リターン』だと、以下のどちらかを選ぶことができます。

  • それまでに払い込んだ保険料総額
  • それまでに払い込んだ保険料総額の105%

下の105%を選ぶと、5%増えて戻ってきます。高利回りと言うほどではありませんが、立派な貯蓄になります。

『メディフィット リターン』は、保険料がより高額

上でご覧いただいたように、『メディカルKit R』の保険料は、一般的な医療保険より高額でした。
『メディフィット リターン』の保険料は、それよりもっと高くなります。

『メディカルKit R』と『メディフィット リターン』の保険料を、できるたでけ条件を近づけて、比較しました。
50歳男女が、70歳のときに、保険料累計と同額の健康還付給付金を受け取る、という設定です。入院給付金日額5,000円として、見積もりました。

メディカルKit
R
メディフィット
リターン
男性 5,544円 6,620円
女性 4,874円 6,200円

ご覧のように、保険料の差は、かなりあります。

もっとも、『メディフィット リターン』は、保険料が高い分、標準でセットされている保障が、『メディカルKit R』より手厚いです。

  • 7大生活習慣病と3大疾病による入院のときに、保障される入院日数が自動的に延長される。
  • 手術給付金の金額が、『メディカルKit R』より大きい。
  • 手術給付金が、骨髄移植術もカバーしている。

『メディフィット リターン』の保険料が高いことには、それなりの理由があります。

ちなみに、『メディカルKit R』でも、特約を付加することで、3大疾病による入院の保障を強化できます。
この特約を付加すると、上表の金額に対して、男性は410円、女性は400円加算されます。

どちらが優れているとは、一概には言えない

メディケア生命『メディフィット リターン』は、『メディカルKit R』を手本にした商品なので、似通っています。
医療保険としての仕組みについて、優劣を付けることはできません。

ただし、健康還付給付金が105%(5%増えて戻る)は、『メディフィット リターン』にしかありません。増えるところに魅力を感じるなら、『メディフィット リターン』の方が有利です。

もっとも、『メディカルKit R』と『メディフィット リターン』とでは、保険料の差がけっこうあるので、見積もりをして、保険料を見比べたら、意外と簡単に結論は出そうです。


他社の医療保険の健康祝金は、『メディカルKit R』の健康還付給付金とは、異なる性質のものです。

いくつかの医療保険では、特則や特約を付けると健康祝金が出る仕組みをとっています。

健康祝金は、健康還付給付金と名称が似ています。しかし、仕組みは異なります。

健康祝金は、数年ごとに、所定の金額がもどる

健康祝金の特則や特約を付加すると、保険を使っていないことを条件に、数年ごとに、所定の金額が出ます。

たとえば、メットライフ生命の医療保険『フレキシィS』だと、5年ごとに5~10万円の健康祝金が出ます。
ただし、その5年の間に、継続10日分以上の入院給付金を受け取っていたら、健康給付金は出ません。

医療保険の健康祝金の仕組み

ただし、健康祝金として戻ってくる金額は、払い込んだ保険料よりずっと少ない金額です。以下で実例をご覧いただきます。

見方によっては、健康祝金を貯蓄と呼べなくはない

メットライフ生命の医療保険『フレキシィS』を例に、健康祝金の損得を説明します。

30歳女性が、シンプルコースに、入院給付金日額5,000円で加入するとします。
そのときの、保険料や健康祝金は、下表のようになります。

5年ごとの健康祝金 5万円
医療保険の保険料5年分 137,820円
(月々2,297円)
健康祝金の保険料5年分 39,900円
(月々665円)

医療保険の保険料全体で見ると、5年間に137,820円払い込んで、もらえる健康祝金は5万円です。まったく貯蓄になっていません。

ただし、健康祝金(健康祝金特則)だけの保険料で見ると、39,900円払い込んで、健康祝金5万円をもらえるので、かなりおトクです。
5年の積立預金に置き換えて考えると、年利8.9%という、イマドキでは素晴らしい利回りです。

つまり、医療保険に加入するついでに、有利な積立預金をする、と割り切れるなら、けっこうおトクです。


健康還付給付金が目立つ『メディカルKit R』ですが、保障内容は、十分に充実しています。

東京海上日動あんしん生命には、『メディカルKit NEO』という医療保険があります。
これには、『メディカルKit R』のような健康還付給付金はありません。そのかわり、特約が豊富に用意されており、業界トップクラスの充実保障を実現できます。

『メディカルKit R』の保障内容は、『メディカルKit NEO』には及びませんが、他社の医療保険と比べて、見劣りすることはありません。

特約は豊富なラインナップ

保障をより厚くする特約は、11タイプ用意されています。各社の医療保険の中で、特約の数は、標準~やや多いくらいです。

  • 5疾病就業不能特約
  • 特定治療支援特約
  • 女性疾病保障特約
  • 先進医療特約
  • 通院特約
  • 3大疾病入院支払日数無制限特約
  • がん診断特約
  • 悪性新生物初回診断特約
  • がん通院特約
  • 抗がん剤治療特約
  • 手術給付金の追加払いに関する特約

特約の中から、他社では見かけにくい、特徴的なものをご案内します。

6つの生活習慣病に、まとまった一時金

三大疾病でまとまった一時金が出る特約は、多くの医療保険で用意されています。しかし、東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』の特定治療支援特約なら、最大で以下の6つの病気で、一時金が出ます。

  • がん
  • 心疾患
  • 脳血管疾患
  • 肝硬変
  • 慢性腎不全
  • 糖尿病の3大合併症

しかも、各疾病ごとに、1年に1回を限度に、通算5回まで給付を受けることができます。

就業不能になったら、まとまった一時金

就業不能になったら給付金が出る特約が、用意されています。就労不能時の生活費まで保障する医療保険は、今のところ、そんなに多くありません。

ただし、就業できない原因は、次の5つの病気でなければなりません。がん、急性心筋梗塞、脳卒中、肝硬変、慢性腎不全の5つです。

また、一時金の給付金額は100万円なので、生活費の原資としては、そんなに長持ちしないかもしれません・・・


専門家に相談しながら、主要な医療保険の見積もりを実際に比較できるのは、保険ショップです。

東京海上日動あんしん生命『メディカルKit R』は、月々の保険料が高くなりやすいです。
そして、医療保険から給付金をもらう時期や受取額、加入者が亡くなる年齢などによって、トクとなったり損になったりします。

クセが強い医療保険なので、一般の消費者にはお勧めしにくいです。

もし、この商品に興味をお持ちで、前向きに検討したいということなら、専門家の意見に耳を傾けることを、お勧めします。

保険ショップは、身近な保険の専門家集団

保険の専門家にもいくつかありますが、お勧めするのは全国チェーンの保険ショップです。

気軽に利用できますし(断りやすさを含めて)、一店舗あたりで取り扱う商品数が多いです。『メディカルKit R』を含めて、主要な商品の見積もりを、一つの店舗で比較検討できます。

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 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。