女性だからといって、女性専用の医療保険にしなければならない理由はありません。

女性特有の病気であれ、男性特有の病気であれ、普通の医療保険の保障の対象になります。それでも、多数の各保険会社が、女性専用の医療保険や特約を販売しています。ということは、普通の医療保険は、女性にとって不十分なのでしょうか?

というわけで、女性特有の病気・女性がかかりやすい病気には、どのようなものがあるのか、調べました。

厚生労働省の統計をもとに、女性に多い病気をチェック!

女性がかかりやすい、比較的重い病気には、どんなものがあるでしょうか。
厚生労働省『患者調査』(平成26年)をもとに、女性の入院患者数が、男性の入院患者数の2倍以上になる病気を、抜き出します。

なお、調査結果のうち、全国で患者数が1000人未満の病気は割愛しています。

病名 男性
入院患者数
女性
入院患者数
乳がん 100人 5,300人
子宮がん 0人 3,300人
神経症性障害等 1,800人 3,800人
アルツハイマー病 14,700人 32,300人
高血圧性疾患 1,700人 4,700人
くも膜下出血 3,300人 8,100人
炎症性多発性関節障害 1,100人 4,200人
関節症 2,800人 12,900人
腰痛症及び坐骨神経痛 700人 1,400人
骨の密度及び構造の障害 600人 1,400人
乳房及び女性生殖器の疾患 0人 2,200人
骨折 26,200人 65,200人

上表には、女性特有の体の仕組みとは関係なさそうな病気が並んでいます。さて、これらの病気は、一般的な医療保険の手には負えないのでしょうか?

上の表のうち、女性がこじらせやすい病気は3つ

上の表の病気のうち、とくにこじらせやすい(=入院が長引きやすい)病気があるのかを、確認しましょう。

治療費を左右するのは治療期間

ところで、健康保険などの公的医療保険を使う場合、治療費を左右するのは治療期間です。
というのは、公的医療保険の一制度である高額療養費制度では、月単位で自己負担の上限が決まる仕組みになっています。

つまり、高額な治療費を受けても、それが保険適用の治療である限り、わたしたちの負担は、高額療養費制度の上限を超えることはありません。

ただし、自己負担の上限は月単位で決まるので、治療期間が月単位で長引くと、わたしたちの自己負担も増えてしまいます

高額療養費制度の仕組みは、高額療養費制度で説明しています。

治療が長引きやすい病気

同じ厚生労働省の統計から、上の表の病気の、男女の入院日数を下表にまとめました。

病名 男性の
入院日数
女性の
入院日数
乳がん 13.8日 12.5日
子宮がん 13.7日
神経症性障害等 72.9日 44.8日
アルツハイマー病 210.5日 300.8日
高血圧性疾患 29.4日 80.5日
くも膜下出血 78.2日 140.5日
炎症性多発性関節障害 19.7日 23日
関節症 28.3日 33.4日
腰痛症及び坐骨神経痛 16.9日 40.7日
骨の密度及び構造の障害 23.6日 39.7日
乳房及び女性生殖器の疾患 5.5日
骨折 28.9日 43.4日

女性の入院日数の方が長い病気が多いです。女性のほうが、医療保険の必要性は高い、と言えそうです。

ただし、入院日数が1ヵ月以内なら、高額療養費制度のおかげで、わたしたちの負担は、わりと軽くてすみます。

また、1ヵ月を超えても、60日以内なら、医療保険の標準的な保障の範囲内です。男女兼用の医療保険で、対処できます。

入院日数が60日を超えるのが、以下の3つの病気です。

  • アルツハイマー病
  • 高血圧性疾患
  • くも膜下出血

このうち、アルツハイマー型認知症については、女性はもちろんのこと、男性であっても、個人の努力だけで治療費用を確保するのは、容易ではありません。

そもそも、完全に治せる病気ではなく、退院後も、病気との付き合いは続きます。
こういう治せない病気に苦しむ人々のために、いくつかの公的支援制度が国や地方自治体により提供されています。それらを有効活用したいです。

そういう意味で、他の病気とは別格です。

ふつうの医療保険で、十分に対策できる

上で名前をあげた3つの病気は、医療保険の標準的な入院保障(1入院あたり60日まで)では、不安があります。

ただし、アルツハイマー病以外の2つは、1入院あたりの保障日数を延長したり、特約を付加するなどして、対策することは可能です。

アルツハイマー病 医療保険では対処しきれない病気。高額療養費制度、介護保険、自立支援医療、障害者手帳、障害年金などの公的支援制度を有効活用する。
高血圧性疾患 1入院あたりの保障日数を120日(商品によっては180日)に指定する。または、七大生活習慣病の保障日数を延長する特約を付加する。
くも膜下出血 1入院あたりの保障日数を120日(商品によっては180日)に指定する。または、三大疾病の保障日数を延長する特約を付加する。

ちなみに、アルツハイマー病の1年近い入院に対応できる医療保険は、少数ですが、あります。
わたしが知っているのは、アフラック『ちゃんと応える医療保険EVER』と東京海上日動あんしん生命『メディカルKit NEO』です。
これらの医療保険は、1年くらいの長期入院にでもカバーできます。

ちなみに、アルツハイマー病は女性特有の病気に含まれないので、女性専用の医療保険でも、男女兼用の医療保険でも、差はありません

また、その他の2つの病気に対する上表の対策は、男女兼用の医療保険でも十分に可能です。これらの病気のために、女性専用の医療保険を選ぶ必要はありません。

つまり・・・

女性が重症化しやすい病気への対策として、女性専用の医療保険を選ぶ意味はありません。


女性専用の医療保険は、その大多数が、女性に多い疾病のときに、入院給付金日額が増える仕組みになっています。

市販されている主な女性専用の医療保険を調べて、女性のためにどんな機能が付加されているのか、調べました。

女性専用医療保険で強化されている機能

女性専用医療保険ごとに、同じの保険会社の一般的な医療保険との違いをコメントしています。

アフラック
『ちゃんと応える医療保険レディースEVER』
「女性特有の病気+三大疾病」で入院したときは、入院給付金が上乗せされる。
FWD富士生命 女性専用の医療保険は、販売していない。
オリックス生命『新CURE Lady[キュア・レディ]』 「女性特有の病気+がん」で入院したときは、入院給付金が上乗せされる。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命
『フェミニーヌ』
同社の医療保険『新・健康のお守り』に、女性疾病特約などいくつかの特約を付加ものとほぼ同じ保障内容。ただし、生存給付金は、女性用のみ付加できる。
チューリッヒ生命
『終身医療保険プレミアムDX Lady』
「女性特有の病気+がん、脳血管疾患、糖尿病等所定の病気」で、入院給付金が上乗せされる。
東京海上日動あんしん生命
『メディカルKit NEO女性プラン』
同社の医療保険『メディカルKit NEO』に、女性疾病特約などいくつかの特約を付加ものとほぼ同じ保障内容。
三井住友海上あいおい生命 女性専用の医療保険は、販売していない。
メットライフ生命
『フレキシィS [女性専用タイプ]』
同社の医療保険『フレキシィS』に、女性疾病特約などいくつかの特約を付加ものとほぼ同じ保障内容。
メディケア生命
『メディフィットA女性専用パック』
同社の医療保険『メディフィットA』に、女性疾病特約などいくつかの特約を付加ものとほぼ同じ保障内容。

この表を見る限り、女性専用の医療保険は、その大多数が、女性に多い疾病のときに、入院給付金日額が増える仕組みになっています。

では、女性特有の病気とは、どのような病気でしょうか?

女性特有の病気は、保険会社によって異なる

各社の女性専用医療保険や特約を調べると、商品によって、女性専用の病気の範囲が、少しずつ違っています。

例として、アフラックとメットライフ生命が指定する、女性特有の病気を比較しました。

なお、下表の数字の分母が、厚生労働省が定めている病気の数(=全病気数)です。分子の数字(赤字)が、それぞれの保険会社が、女性特有の病気と認定している数です。

病気の分類 アフラック メットライフ
がん 10/98 89/98
上皮内がん 3/10 9/10
良性新生物 5/27 6/27
血液・免疫の病気 0/40 12/40
内分泌・栄養・代謝の病気 1/91 12/91
循環器系の病気 0/100 9/100
消化器系の病気 0/94 4/94
骨格・筋肉の病気 2/100 9/100
腎臓・尿路・生殖器の病気 32/100 66/100
妊娠・分娩の病気 78/100 80/100

両社を比べると、メットライフ生命の女性特有の病気のほうが、アフラックよりかなり幅広いです。

もっとも、メットライフ生命の方は、三大疾病(がん、心疾患、脳血管疾患)などの成人がかかりやすい病気を、女性特有の病気の中に含めています。
単純に、保障が厚いか薄いかの違いではなく、保険会社ごとの方針とか戦略の違いもあるようです。

また、対象となる病気の範囲が広いと、その分保険料は高くなります。範囲の広ければ良い、という単純なものではありません。


女性特有の病気に警戒する必要はあるけれど、だからと言って、女性専用の医療保険に入る必要はありません。

女性専用の医療保険の多くは、女性特有の病気による入院に対して、入院給付金を上乗せしています。

ところで、上にも書きましたが、公的医療保険の高額療養費制度を使う限り、医療費の自己負担を押し上げるのは、月単位での治療期間の長さです。
特に、入院期間60日を超えると、医療保険の標準的な保障日数を超えてしまいます。

では、女性特有の病気は、入院給付金を上乗せしなければならないほど、治療が長引きやすいのでしょうか?

女性特有の病気で、高額になりやすいものは少ない

ここでは、ほとんどの保険会社が女性特有の病気と認定している、女性特有の部位の病気を中心に、厚生労働省『患者調査』(平成26年)で入院日数を調べました。

病名 入院日数
乳房の悪性新生物 12.5日
子宮頚(部)の悪性新生物 17.9日
子宮体(部)の悪性新生物 10.1日
子宮の部位不明の悪性新生物 33.4日
卵巣の悪性新生物 11.1日
その他の女性生殖器の悪性新生物 16.2日
甲状腺の悪性新生物 15日
子宮頚(部)の上皮内癌 4.4日
その他の上皮内新生物 10.1日
乳房の良性新生物 3.1日
子宮平滑筋腫 7.9日
卵巣の良性新生物 12日
卵巣機能障害 4.4日
関節リウマチ 23.4日
乳房の障害 4.4日
卵管炎及び卵巣炎 7.3日
子宮頚(部)の炎症性疾患 4日
その他の女性骨盤臓器の炎症性疾患 10.4日
子宮内膜症 7.6日
女性性器脱 8.7日
卵巣,卵管及び子宮広間膜の非炎症性障害 4.7日
月経障害 4.5日
閉経期及びその他の閉経周辺期障害 13.2日
女性不妊症 0.7日
自然流産 8.9日
医学的人工流産 0.8日
その他の流産 2.2日
妊娠高血圧症候群 11日
妊娠早期の出血(切迫流産を含む) 11.6日
前置胎盤,胎盤早期剥離及び分娩前出血 13.9日
その他の胎児及び羊膜腔に関連する母体のケアなど 13.2日
早産 9.1日
分娩後出血 5.1日
その他の妊娠及び分娩の障害及び合併症 10.2日
主として産じょくに関連する合併症など 8.3日

平均は9.8日。
もっとも入院期間の長いのが、「子宮の部位不明の悪性新生物」の33.4日です。1ヵ月を超えるのは、これだけです。

上表の入院日数は国民平均なので、これより長引く危険はあります。それでも、60日を超える危険性は低そうです。

この表を見る限り・・・

女性特有の病気のために、専用の医療保険に加入して、保障を手厚くする必要性は、低いです。


女性専用の医療保険を選ぶより、一般タイプの医療保険の基本保障を厚くするのを、お勧めします。

女性専用の医療保険は、一般的な男女兼用の医療保険より機能を強化しており、保険料も少し高くなります。

女性の方が男性より平均寿命が長い分、病気のリスクは高くなります。だから、女性が医療保険を厚めにすることには賛成です。

しかし、女性特有の病気を手厚くするという考え方は、ちょっとズレています。

幅広い病気・ケガに対応できるように、保障を強化

この記事の冒頭で、女性がかかりやすくて、治療が長引きやすい病気をご案内しましたが、以下のような病気でした。

  • 子宮がん
  • 神経症性障害等
  • アルツハイマー病
  • 高血圧性疾患
  • くも膜下出血
  • 炎症性多発性関節障害
  • 関節症
  • 腰痛症及び坐骨神経痛
  • 骨の密度及び構造の障害
  • 乳房及び女性生殖器の疾患
  • 骨折

これらの中で、女性特有の病気と言えそうなのは、「子宮がん」と「乳房及び女性生殖器の疾患」の2つだけ。
その他は、女性の方が重症化しやすいけれど、男女ともかかる病気です。

ということは・・・

女性が医療保険を厚くするなら、幅広い病気・ケガに対応できる保障を強化するのが合理的です。

一般的な医療保険に入って、基本の保障を厚くする

女性が、一般タイプの医療保険より保障を厚くするのなら、女性専用医療保険より、一般的な医療保険で基本の保障(すべての入院にかかわる保障)を厚くすることを、お勧めします。

アフラックの医療保険で、具体例をご覧いただきます。
男女どちらでも入れる一般タイプの医療保険『ちゃんと応える医療保険EVER』と、女性専用商品『ちゃんと応える医療保険レディースEVER』の保険料を比較します。35歳の女性が、入院給付金日額1万円で加入する、という見積もり条件です。

EVERのシンプルな保障 3,040円
レディースEVERのシンプルな保障 3,325円
EVERで、1入院あたり120日まで 3,420円

シンプルな保障プランで保険料を見積もると、『レディースEVER』の方が、少し高くなります。女性特有の病気に手厚くなっているからです。

男女兼用の『EVER』を選んで、入院給付金の1入院あたりの保障限度を、標準の60日から120日に延ばしたときの保険料が、上表の最下段です。

1入院あたりの保障限度を120日に延ばすほうが、『レディースEVER』より100円ほど高くなりますが、この方が役に立つ可能性は大きいです。


専門家に相談しながら、主要な医療保険の見積もりを実際に比較できるのは、保険ショップです。

医療保険にいったん加入したら、数十年にわたって継続する可能性があります。それだけに選択を誤ったら損害は大きくなります。納得して選んでいただきたいです。

そのために、中立的な専門家に相談しながら、見積もりを比較して判断されることを、強くお勧めします。

特に、主な保険商品を一通り取り扱っている専門家を活用するのが、効率的です。

保険ショップをお勧めするのは、取り扱える商品数の多さゆえ

全国チェーンの保険ショップをお勧めする理由は、単純明快です。

お勧めできるすべての医療保険を、一つの店舗で取り扱っています。お近くの店舗に行けば、お勧めの医療保険の見積もりを、一気に比較できます。

保険ショップと一口に言っても、チェーンによって、取り扱うことのできる保険会社数は異なります。
でも、このサイトでお勧めしている医療保険を、すべてのチェーンが取り扱っています。
ということは、予約して訪問すれば、見積書を一通り入手できます。保険ショップ以外では、こうはいきません。

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 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。