医療保険は、思いがけず重い病気にかかって、治療費が大きくなる事態に備えるものです。

医療保険は、おもに入院費用をまかなうための保険です。いざというとき(急な入院でまとまった出費があったとき)は役に立ちますが、損得で考えると微妙です。

たとえば、アフラックの医療保険『ちゃんと応える医療保険EVER』に、35歳女性が加入するとします。必要最低限度の保障で加入したときの保険料は、月々1,685円になります。
仮にこの女性が87歳までこの保険を継続すると、保険料の総額は1,051,440円になります。

この医療保険の最低限のプランでは、入院給付金日額5,000円に、入院中の手術で5万円(重大手術で20万円)出ます。
払い込んだ保険料よりも多額の給付金を受け取るためには、87歳までの52年間に、手術を伴う30日間の入院を、5.3回以上しなければなりません。

日本人の一生のうちの平均入院日数は不明ですが(信頼できる統計を見つけられませんでした)、手術を伴う30日間の入院を5.3回以上というのは、人並みより多いでしょう。
ということは、人並みにしか入院しなかったら、保険会社とのお金の関係では、損をすることになります。

損をすることが初めからわかっていたら、保険に入る人はいないでしょう。しかし、将来、どのくらいの回数や期間入院することになるかは、わかりません。
損をしたか得をしたかは、後になってみないとわかりません。


預貯金による医療費の準備にも、いくつかの大きなデメリットがあります。そんなときに、医療保険は強みを発揮します。

上でご説明したように、医療保険にはデメリットがあります。それでも、多くの方々が医療保険に加入するのは、なぜでしょうか?

預貯金による準備にもデメリットが・・・

将来の入院費用に備える方法は、他にもありますが、いずれも貯蓄的な方法になります。そして、どんな貯め方をするにしても、貯蓄的な方法には共通するデメリットがあります。

まず、ある程度の金額を貯めようとすると、それなりの年数がかかります。病気・ケガによる入院は、いつ起こるかわかりません。預貯金が貯まるまで待ってくれるわけではありません。

また、預貯金で準備した金額自体が不十分であるかもしれません。初めに想定した以上に入院費用がかかってしまう危険があります。

"まさかの不安"を軽減する医療保険

上で、預貯金で医療費を準備するときのデメリットをご説明しました。これらのデメリットに強いのが、医療保険です。

加入後すぐにすべての保障を受けられる

医療保険は、加入の手続きが終了した時点から、保障を受けることができます。預貯金のように、お金が貯まるまで待つ必要はありません。

20代、30代の方が、老後の医療費を準備されるのであれば、預貯金でも十分な準備期間があります。
しかし、老後になるまで、病気・ケガによる入院がまったく起こらないという保証はありません。現役世代の入院は、治療費が生ずるだけでなく、扶養家族があると入院中の生活費も心配です。

若くして、長く入院する危険性は低いですが、ダメージの大きさを無視できません。

入院費用が想定より膨らんでも対応できる

冒頭で取り上げたアフラックの医療保険の保険料は、月々1,685円でした。保険に加入する代わりに、毎月1,685円貯蓄すると仮定します。

35歳から貯蓄を始めると、70歳のときに707,700円貯まります。平均寿命くらいまで生きて、70歳以降の入院費用が国民平均くらいに収まるなら、かなり心強い金額です。

しかし、もっと長生きできるかもしれません。そうすると、医療費も増えるかもしれません。また、入院費用が国民平均よりずっと多くなるかもしれません。

それ以前に、70歳までに一部を使ってしまって、予定通りの金額まで貯まらないかもしれません。

冒頭で取り上げたアフラックの医療保険なら、通算で1,095日まで保障してくれます。
上の例だと、保険料の総額は1,051,440円でしたが、最大で5,475,000円の入院給付金を受け取る権利が手に入ります。

お金の面で損をすることはあっても、最悪の事態を避けられる

医療保険を使うにしても、預貯金で入院費用を貯めるにしても、デメリットはあります。だから、優劣を簡単に決めることはできません。
それぞれの強み・弱みを踏まえて、組み合わせて使うのが理想的です。

ところで、入院費用の準備をするにあたっての最悪の事態は、入院の費用を調達できないことです。そのために、必要な入院を見送ったり、高利な借金をしたり・・・

医療保険があれば、お金の面で損をする可能性はありますが、このような最悪の事態を回避することはできます。
そこが、医療保険の値打ちです。


預貯金と医療保険の、それぞれの強み・弱みを踏まえて、使い分けましょう。

上でご説明した通り、将来の入院費用の準備は、預貯金にせよ、医療保険にせよ、それぞれメリット・デメリットがあります。

医療保険に加入しても、預貯金による準備は必要

医療保険は入院保障がメインなので、通院費用を準備することはできません。しかし、実際の治療においては、入院と通院を切り離して考えることはできません。

たとえば、がんの治療の場合、三大治療のうちの2つ、放射線治療と抗がん剤治療は、患者の症状や体力しだいで、入院でも通院でも実施されます。

また、高血圧症や糖尿病などの七大生活習慣病の多くでは、通院で治療に取り組む患者数の方が、大幅に多くなっています。そして、症状が重くなったり、三大疾病を併発すると、入院になります。

このように、日本人の死因にかかわる病気の治療が、医療の現場では、入院と通院を使い分けながら実施されています。

こうした実態を踏まえると、たとえ医療保険に加入しても、預貯金による医療費の準備を、計画的に進めたいです。

預貯金と医療保険の連動のさせ方

預貯金と医療保険を組み合わせるにとしても、どんなバランスで使い分ければよいでしょうか。

細かな使い分け方は、預貯金の余裕度とか、医療保険の保障内容とかで異なります。ここでは、大まかな考え方を、ご案内します。

預貯金に
よる準備
医療保険
通院費用 ×
現役時代の入院費用
老後の入院費用

通院費用には、医療保険は役に立たない

いくつかの医療保険には、通院特約が用意されています。しかし、中身を調べると、ごく限られた通院にしか使えません。入院前後の数ヵ月以内の通院とか、がんなど特定の病気の通院とか。
役には立ちますが、頼りにはできません。

というわけで、通院費用は、預貯金での準備をメインに進めましょう。

現役時代の入院費用

預貯金を貯めるには年数が必要です。それまでの間に、入院するリスクがあります。現役世代で、扶養家族がいたら、治療費用だけでなく、入院中の生活費のことも心配になります。

老後より、重い病気で入院する確率は低いです。しかし、いざ入院することになったら、お金のやりくりの面では、むしろ老後より心配です。

ここは、医療保険の強みが発揮される場面です。

老後の入院費用

老後は、健康保険や後期高齢者医療制度のおかげで、医療費の自己負担は低くなります。ただし、入院する危険性は飛躍的に高まります。入院の長期化も心配です。

入院費用だけのことを考えると、預貯金がメインでも、医療費がメインでも、どちらでも良いです。しかし、老後生活資金全体を考えると、預貯金をメインにしたいです。

医療保険は、一部の例外を除き、入院費用にしか使えません。想定より入院の機会が少なかったとしても、余ったお金を通院費用や、もっと別の目的に回す、ということはできません。

預貯金は、言うまでもありませんが、使い道を自由に変更することができます。生活資金全体のやりくりのしやすさを考えると、預貯金をメインにしたいです。

預貯金で十分な金額を準備できるなら、医療保険は解約しても良いでしょう。
預貯金だけで足りない危険があるときは、医療保険と2本立てで備えましょう。預貯金の余裕度に応じて、保険をコンパクトにする手続きをとっても良いでしょう(入院給付金額を3,000円にするとか)。


 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。