医療保険の標準の保障で、がんによる入院には十分に対応できます。入院保障を強化する特約は、優先度低いです。

ほぼすべての医療保険の主契約に、入院給付金が組み込まれています。1日あたりの給付金額が決まっていて、入院日数分の給付金を、もらうことができます。

がんの1回あたりの入院期間は、平均より短い

ただし、入院1回あたりの保障される日数には上限がもうけられています。最も多いのは60日までという制限です。

これに対して、ほとんどの医療保険では、がんによる入院のときに、日数無制限で保障する特約が、提供されています。商品によっては、主契約にこの機能をあらかじめ組み込んでいます。

しかし、がんの入院1回あたりの在院期間は19.9日で、全体の平均(31.9日)より、かなり短いです
これなら、60日までという医療保険の標準的な入院保障で、十分に対処できそうです。少なくとも、日数無制限の入院保障に、さほどのありがたみはありません。

参考までに、いくつかのがんの平均入院期間を、厚生労働省『患者調査』(平成26年)から引用します。

平均在院日数
すべての入院 31.9日
がん全体 19.9日
胃がん 19.3日
大腸がん 18.0日
肺がん 20.9日
乳がん 12.5日

再発・転移があっても、医療保険の標準の保障で対応できる

がんは、1回あたりの入院期間は短くても、再発・転移が怖い病気です。入院が1回とは限りません。

しかし、心配いりません。ほとんどの医療保険は、通算して1,000日以上の入院日数を保障しています
1回あたり60日入院するとして、16回以上の入院をカバーできます。

がん入院を、日数無制限で保障する特約は、無くてもOK

ほとんどの医療保険は、がんの入院について、日数制限で保障する特約を用意しています。

商品によっては、主契約の中に、日数無制限の保障を組み込んでいる例もあります。

そういう特約がムダということはありません。上でご案内したがんの入院日数は、あくまでも平均です。60日を超える入院の危険がゼロということではありません。

とは言え、がんに関しては、入院の長期化よりも心配なことが他にあります(下でご説明します)。それらに比べると・・・

入院を日数無制限に延長する特約の優先度は、がんのためには低いです。

医療保険の標準の保障だけで不安なのは、通院によるがんの治療費です。通院でがんに取り組む患者数は、増加の一途をたどっています。

医療保険の主契約だけで、がん対策として不十分な原因は、医療保険が入院保障をメインとしているからです。

入院すると、短期間にまとまった出費になります。そのために、医療保険は、入院保障に軸足を置いています。

一昔前は、がんがある程度進行すると、高い確率で入院しました。だから、医療保険の入院給付金で、かなりの程度カバーできました。
しかし、ここ15年くらいで状況は変わっています。

がんは、入院患者より、通院患者の方が多い

以下は、厚生労働省『患者調査』(平成26年)から作成した、がんの入院患者数と通院患者数の推移のグラフです。

がんの入院患者数と通院患者数の推移のグラフ

この調査は3年ごとに実施されます。
平成17年の調査では、入院患者数が通院患者数を上回っていますした。それが、平成20年の調査では、通院患者数が逆転し、その後入院患者数との差を広げています。

医療技術の進歩によって、通院で出来る治療の範囲が広がってきたために、医療保険の主契約だけでは、がん治療に対応しきれなくなっています。

そうした現状を、保険会社もわかっているようで、ほとんどの医療保険には、主契約の保障をパワーアップするために、がんのための特約が用意されています。

それらの中で、通院費用の準備にあたって、重視したいのが、以下の特約です。

がんへの対策として、重視したい保障・特約

がんに関連した保障の中で重視したいのは、通院費用に使える保障です。具体的には、以下の2つに注目してください。

  • 診断一時金の特約
  • 通院給付金の特約

がんの診断一時金で、医療保険を選ぶなら、おすすめはこちらの2つの商品です。

がんの診断が確定したら、まとまった金額の一時金が出る特約があります。
ほとんどの医療保険で、提供されています。

この特約の魅力は、入院の有無、治療方法、症状の軽重などに関係なく給付金が出る点です。しかも、診断確定が支払条件なので、素早く保険会社に請求すれば、早いタイミングでお金が手元に届きます

準備したい治療費は総額300万円が目安

一時金でどのくらいの金額を準備すればよいのか、気になります。

治療にかかった日数に応じて給付金が出る入院給付金や通院給付金などと違って、診断一時金の金額を設定するときには、治療費総額を意識せざるを得ません。

ところが、がんは再発・転移が多い上に、そのまま死に至ることも少なくないので、治療費総額を正確に把握するのは困難です。そのせいか、信頼できそうな調査は少ないです。

少し古いデータですが、保険会社のアフラックが2011年に公表した『がんに関する意識調査』から、がんの経験者が答えたがん治療全般に関わる費用(入院、食事、交通費等を含む)を引用します。

がんの治療にかかる費用総額の、調査結果

これによると、半数以上の65.8%は、100万円くらいにおさまっています。
そして、全体の92.9%は、300万円くらいにおさまっています。

ということは・・・

一時金が300万円くらいあれば、保険から出るお金だけで、治療費全額をまかなえそうです。

医療保険には、入院給付金手術給付金が主契約に組み込まれています。また、最近の商品の多くは、放射線治療給付金も主契約に組み込んでいます。

治療費総額が300万円を超えても、一時金にこれらの給付金を合算すると、カバーできる可能性は高いです。

診断一時金特約が優秀な、2つの医療保険

がんの診断一時金は、ほとんどの医療保険で用意されています。パッと見では、どれも似たり寄ったりに見えますが、実際には、受取金額に影響しそうな違いがあります。

たとえば、2年に1回を限度に一時金50万円が出る特約を選ぶとします。300万円になるまで、6回の受取、発病から10年がかりになります。

そこで、300万円以上の診断一時金を、受け取りやすい医療保険をご案内します。

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命『新・健康のお守り』

この商品の主契約は、一見普通に見えますが、給付金の金額や保障日数などを、他社より幅広くきめ細かく設定できます
たとえば、入院給付金の日額を、3,000円~20,000円の範囲で設定できます。

その反面、選択の幅が広すぎて、迷ってしまう危険があります
がんに直接かかわる特約にしても、7つも用意されていて、どれを選ぶかとまどってしまいます。

がんの診断一時金が出る特約は、以下の2つです。

  • 医療用三大疾病入院一時金特約
  • 医療用がん診断給付特約

がんに関しては、どちらを選んでも同じです。初めてがんと診断されたとき、再度がんと診断されて入院を開始したときに、2年に1回を限度に、あらかじめ決められた一時金が出ます

他社と比べたときの、この商品の強みは・・・

診断一時金の金額を、5万円~200万円の範囲で、幅広く設定できます。

最高200万円なので、300万円には届きませんが、2年に1回はもらえるので、複数回受け取れば300万円を超えます。

なお、医療用三大疾病入院一時金特約を選ぶと、急性心筋梗塞、脳卒中で入院を開始したときにも、一時金が出ます

オリックス生命『新CURE(キュア)』

『新CURE(キュア)』の特徴の一つは、がんの入院を日数無制限で保障する機能が、主契約に組み込まれていることです。
と言っても、他社でも特約で同じ機能が提供されているので、強みと言うほどではありません。

がんの診断一時金が出る特約は、以下の2つです。

  • 重度三疾病一時金特約
  • がん一時金特約

がんに関しては、どちらを選んでも同じです。
初めてがんと診断されたとき、再度がんと診断されて入院を開始したときに、1年に1回を限度に、50万円か100万円の一時金が出ます

一時金の金額は、高くしても100万円と、控えめですが・・・

年1回を限度に一時金が出るので、病気が長引けば、もらえる金額も大きくなります。

高額療養費制度を活用し、健康保険適用の治療を受けている限りでは、数ヵ月で一気に100万円以上の治療費が発生することは考えにくいです。

ちなみに、他社商品を見渡すと、2年に1回を限度というのが多数派です。年1回を限度というのは、この商品の強みです。

なお、重度三疾病一時金特約を選ぶと、急性心筋梗塞、脳卒中で入院を開始したときにも、一時金が出ます。


がんの通院特約で医療保険を選ぶなら、おすすめできる商品は、こちらの2つです。

保険会社は、通院費用を保障するのに消極的です。
理由はいくつか考えられます。必要な通院と不必要な通院を区別するのが難しいとか、保険料が高くなるわりに、ありがたみは少なかったりとか・・・

しかし、がんの通院に限っては、保険会社も対応を強化しており、年々少しずつ充実している印象です。

上で説明したように、通院でがんに取り組む患者がハイペースで増加しています。
特に、がんの三大治療(手術、放射線治療、抗がん剤治療)のうち、放射線治療と抗がん剤治療は、通院で実施されることが多くなっているそうです。

将来にわたって、がんの通院治療費の全部または大半をまかなえる、通院特約が理想です。

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命『新・健康のお守り』

『新・健康のお守り』のがん通院特約の正式名称は、医療用がん外来治療給付特約です。

がんの診断確定から1年間の、がん治療を直接の目的とする通院費用が、保障されます
1年を経過して、約款所定の4つの治療(手術療法、放射線療法、化学療法、疼痛緩和療法)を継続する必要があるときは、保障は延長されます。

ちなみに、保障は1年のうち120日までという、日数による制限があります。しかし、治療法による制限はありません。
つまり、診断確定から1年間にかんしては、マイナーな治療法でも、今後新しい治療法が登場しても、柔軟に対応できます

ただ、1年間を超える保障を受けられるのは、4つの治療法に限られていて、この点はマイナスです

さらに、気になる点があります。
この通院特約(正式には医療用がん外来治療給付特約)を付加するためには、上でご案内した医療用がん診断給付特約を付加しなければなりません
保険料の負担が大きくなります。

三井住友海上あいおい生命『&LIFE 新医療保険Aプラス』

『&LIFE 新医療保険Aプラス』の特徴は、主契約に多くの機能が盛り込まれているところです。
5日未満の入院に5日分の入院給付金を払う機能、がんよる入院を日数無制限で保障する機能などが、主契約に組み込まれています。

これは必ずしも長所ではありません。主契約に組み込まれた保障は、取り外すことができません。
主契約が盛りだくさんなのは、加入者の選択の幅が狭くなっているとも言えます。

ただ、主契約が多機能であることを含めて、『&LIFE 新医療保険Aプラス』は充実志向の商品なので、手厚い保障を望む人には、向いている医療保険の一つです。

この医療保険のがん通院特約の名称は、ガン治療通院給付特約です。

がんと診断されてから5年間以内の、がん治療を目的とする通院が、保障の対象になります

給付金の支払条件に、治療法による事細かな制限がないので、安心して長く続けられます

ガン治療通院給付特約は、がんの通院特約として優れた保障内容で、おすすめです。

『&LIFE 新医療保険Aプラス』は、がんの通院の保障に限ると優秀な医療保険です。
ただ、全体的には、個性のある商品なので、人によっては、判断に迷われるかもしれません。


すでに医療保険(医療特約を含む)に入っている人が、がんへの保障を強化するなら、がん保険も検討対象に加えましょう。

これまでの説明は、まだ医療保険にもがん保険にも加入していない方々を前提としていました。

ここでは、すでに医療保険に加入している人とか、死亡保険などに医療特約を付加している人が、がんの保障をもっと充実させるときに、取りうる方法を説明します。

最新のがん保険もチェックする

すでに医療保険(医療特約を含む)に加入している人が、がんへの保障を強化する場合、3つの選択肢があります。

  • 現在の医療保険を止めて、がんに強い医療保険に入り直す。
  • 現在の医療保険に、がん関連の特約を付加する。
  • 現在の医療保険はそのままにして、別にがん保険に加入する

1番目の方法は

慎重に判断してください。別の医療保険に入り直すということは、満足している保障まで見直すことになり、3つの方法のうち、もっとも保険料が高くなります
現在の保険のほぼすべてに不満がある、という場合を除いては、選べない方法です。

2番目の方法は

ムダが少ないですが、現在加入している医療保険に、がん関連の特約が存在することが、前提条件です。存在しなければ、選べません。

もっとも、古いがんの特約には、給付金の金額が小さいとか、支払条件が時代遅れなどの危険があり、内容をしっかりチェックする必要があります
また、健康状態の審査とか告知とか、手続きは新規加入するときに近い手間になります。

3つ目の選択肢は

現在の医療保険に悪い影響がなく、最新のがんの保障を確保できます。
入る保険の数が増えることに抵抗を感じるかもしれませんが、保険料の面で他の2つの方法より損になることはありません。

医療保険と組み合わせやすいがん保険を選ぶ

医療保険と組み合わせるのに、どんながん保険でもうまくかみ合うわけではありません。
どちらも医療関連の保険なので、不用意に組み合わせると、保障の重複が起こって、保険料のムダが生じます

特に・・・

入院給付金と手術給付金が、主契約に含まれているがん保険は、要注意です。

この2つの給付金は、ほぼすべての医療保険の主契約に組み込まれています。
そのため、この2つが同じく主契約に入っているがん保険と組み合わせると、保障の重複が起こり、保険料のムダになります。


専門家に相談しながら、主要な医療保険の見積もりを実際に比較できるのは、保険ショップです。

医療保険にいったん加入したら、数十年にわたって継続する可能性があります。それだけに選択を誤ったら損害は大きくなります。
特に、「医療保険+がん保険」というように、複数を組み合わせるときは、保障の重複の恐れがあるので、慎重に判断したいです。

また、医療関連の保険を検討するときは、健康保険などの公的制度や医療などの知識が必要になります。
専門家を使って疑問を解消しながら、確実な判断を下したいです。

もっとも、保険の専門家(保険会社のセールス、金融機関の窓口、保険ショップ、FP、保険代理店・・・)の中には、販売手数料の高い商品を優先的に勧めるところもあります。
勧められるがままに加入するのではなく、見積もりを比較して、ご自分にとってベストな商品を選んでください。

保険ショップをお勧めするのは、取り扱える商品数の多さゆえ

全国チェーンの保険ショップをお勧めする理由は、単純明快です。

お勧めできるすべての医療保険を、一つの店舗で取り扱っています。お近くの店舗に行けば、お勧めの医療保険の見積もりを、一気に比較できます。

保険ショップと一口に言っても、チェーンによって、取り扱うことのできる保険会社数は異なります。
でも、このサイトでお勧めしている医療保険を、すべてのチェーンが取り扱っています。
ということは、予約して訪問すれば、見積書を一通り入手できます。保険ショップ以外では、こうはいきません。

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 ご注意

統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。