日本人の入院の92.4%は、60日以内に退院しています。医療保険の60日までの入院保障で、たいていはカバーできます。

医療保険は、入院のための保険です。そして、だいたいの医療保険が、入院1回あたり60日までの保障となっています。
しかし、複数の医療保険では、120日までとか180日までの保障も選べるようになっています。

ということは、60日までの保障では、不安があるのでしょうか?

図は、厚生労働省『患者調査』(平成26年)をもとに、入院日数の分布を表したグラフです。

入院期間ごとの割合の円グラフ

これによると、83.2%が30日以内に退院しています。60日以内に退院している人は、92.4%に上ります。

入院費用の大半を医療保険でまかないつつ、多少は自腹を切る覚悟はある、ということでしたら、60日までの入院保障でも、十分に役に立ってくれそうです。

一方、入院費用の全額を医療保険でまかないたい、ということなら、60日の保障では不安が残ります。

60日までの保障でカバーできないのは7.6%です。大きな数字ではありません。それでも、中身を調べないで切り捨てられるほど小さくもありません。


60日までの入院保障では、不十分な病気を調べました。

医療保険の標準的な保障は、入院1回あたり60日までの保障です。この保障では不安である病気には、どんなものがあるのでしょうか?

特殊なケースを調べると切りがなくなってしまいます。ここでは、患者数が比較的多い病気に絞って、調べてみます。

三大疾病・七大生活習慣病のうち、3つは心配

日本人がかかりやすい重い病気と言えば、三大疾病・七大生活習慣病が代表格です。

厚生労働省『患者調査』(平成26年)から、三大疾病・七大生活習慣病の入院日数を抜き出しました。あわせて、入院患者数(推計)も引用しました。
赤文字が三大疾病です。

傷病名 入院患者数 平均在院日数
がん 129,400人 19.9日
糖尿病 20,900人 35.5日
高血圧性疾患 6,400人 60.5日
心疾患 59,900人 20.3日
脳血管疾患 159,400人 89.5日
肝疾患 8,000人 25.8日
慢性腎不全 24,100人 62.9日

60日を超える病気は3つあります。高血圧性疾患脳血管疾患慢性腎不全です。
このうち、高血圧性疾患と慢性腎不全は、60日をわずかに超えているだけです。ただし、上表の日数は平均です。そう考えると、入院が60日を超える危険性は、それなりにあります。

その他の入院が長引きやすい病気

やはり、厚生労働省『患者調査』(平成26年)から、三大疾病・七大生活習慣病以外の、入院期間が60日を超える病気を抜き出しました。
ただし、入院患者数が全国で1,000人以上の病気に限っています。

傷病名 入院患者数 平均在院日数
感染症等 1,500人 722.6日
認知症 29,800人 376.5日
薬品等の使用による障害 13,500人 98.9日
統合失調症等 165,800人 546.1日
気分障害(躁うつ病を含む) 28,800人 113.4日
知的障害 6,900人 422.6日
パーキンソン病 18,800人 143.1日
アルツハイマー病 47,000人 266.3日
脳性麻痺等 12,600人 350.6日
慢性閉塞性肺疾患 7,900人 68.1日

上の表のうち、120日までの入院保障でも、まったく歯が立たない病気がいくつかあります。1回あたりの入院期間が1年(365日)を超えるような病気は、医療保険で対策するのが、難しいです。

というか、こうした病気に、(医療保険を含めて)個々人の自助努力で対策することは困難です。国や自治体による社会福祉制度を活用しながら、乗り切っていく病気でしょう。

誰もが利用できる社会福祉制度には、以下のようなものがあります。

  • 高額介護サービス費
  • 高額介護合算制度
  • 介護保険負担限度額認定証
  • 自立支援医療(精神通院医療)
  • 傷病手当金
  • 障害年金
  • 高度障害状態による、死亡保険金の生前受給

他にも、障害者手帳を取得することで、優遇を受けることができます。


医療保険で長期の入院に備えるには、2つの方法があります。

医療保険で長期の入院に備える方法は、以下の2つが考えられます。どれかを選んでもいいし、複数の方法を組み合わせることもできます。

  • 入院1回あたりの保障日数を、60日よりも長く指定する。
  • 特定の病気(三大疾病など)の入院に限って、長期入院を補償する特約を付加する。

上の2つは、ほとんどの医療保険で対処可能です。ただし、どのくらいまで保障日数を延長できるかは、商品によって差があります。


医療保険の入院1回あたりの保障を120日までにすると、入院の98%までカバーできます。

医療保険は、入院のための保険です。そして、だいたいの医療保険が、入院1回あたり60日までの保障となっています。

120日にすると、98%までカバーできる

冒頭でご覧いただいた、入院日数の分布を表したグラフを、もう一度ご覧ください。

入院期間ごとの割合の円グラフ

医療保険の標準である、1入院あたり60日以内の保障でも、92.4%カバーできました。

ほとんどの医療保険では、1入院あたりの保障日数を、60日より長く設定することが可能です。120日とか、180日とか。
何日に設定すれば、安心できるのでしょうか?

そこで、上のグラフをもとに、保障日数ごとの、入院患者のカバー率を、下表にまとめました。

保障日数 カバー率
30日以内 83.2%
60日以内 92.4%
120日以内 97.9%
180日以内 99.1%
365日以内 99.4%

30日以内と60日以内では、カバー率に明らかな差があります。
しかし、そこから先は、日数を延ばしてもカバー率の伸びは鈍っていきます。

保障日数を長くするほど、安心感は高くなります。しかし、保険料も少しずつ高くなります。
どこかで区切るとしたら、120日か180日というのが、現実的な選択になりそうです。

なお、ほとんどの医療保険が、保障日数を120日に指定できますが、180日(あるいはそれより長く)を指定できる商品は、限られます。

主な医療保険の、対応状況をチェック

ほとんどの医療保険で、保障日数を延長できるようになっています。主な医療保険の対応状況を調べました。
ただし、保険料が割高な国内大手生保は除いています。

商品名 指定できる日数
アフラック
『ちゃんと応える医療保険EVER』
  • 60日
  • 120日
  • 365日
365日は特約。
FWD富士生命
『さいふにやさしい医療保険』
  • 30日
  • 60日
  • 120日
オリックス生命
『新CURE[キュア]』
  • 60日
  • 120日
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命
『新・健康のお守り』
  • 40日
  • 60日
  • 120日
  • 180日
東京海上日動あんしん生命
『メディカルKit NEO』
  • 60日
  • 120日
  • 360日
三井住友海上あいおい生命
『&LIFE 新医療保険Aプラス』
  • 30日
  • 60日
  • 120日
メットライフ生命
『フレキシィS』
  • 60日
  • 120日
メディケア生命
『メディフィットA』
  • 60日
  • 120日

調べたすべての商品で、120日までの入院保障の延長は可能です。

上の中で最長レベルなのは、アフラック『ちゃんと応える医療保険EVER』の365日と東京海上日動あんしん生命『メディカルKit NEO』の360日です。
下でご案内するような、超長期化しやすい病気(統合失調症、認知症、アルツハイマー病など)で、そこそこ役に立ちそうなのは、この2つでしょうか。

なお、各社とも、特定の病気のときに、保障日数を延長する特約を用意しています。これらについては、以下でご案内します。
ただし、アフラックの三大疾病無制限型長期入院特約は、あらゆる病気・ケガの入院で保障日数を延長できるので、上の表に含めています。


三大疾病・七大生活習慣病の入院のときに、保障日数を延長する特約は中途半端です。

医療保険の長期入院に備える機能として、もっともよく見かけるのが、三大疾病・七大生活習慣病の入院のときに、長期入院を保障する特約です。

通常の入院では60日までの保障ですが、三大疾病(あるいは七大生活習慣病)のときは日数無制限で保障してもらえる、というような仕組みです。

いくつかの医療保険では、特約ではなく、主契約の中に標準で組み込まれています。そのくらい普及しています。

三大疾病・七大生活習慣病の入院期間は意外と短い

日本人がかかりやすい重い病気と言えば、三大疾病・七大生活習慣病が代表格です。しかし、入院期間に限ってみると、意外と短いです。

厚生労働省『患者調査』(平成26年)から、三大疾病・七大生活習慣病の入院日数を抜き出しました。あわせて、入院患者数(推計)も引用しました。
赤文字が三大疾病です。

傷病名 入院患者数 平均在院日数
がん 129,400人 19.9日
糖尿病 20,900人 35.5日
高血圧性疾患 6,400人 60.5日
心疾患 59,900人 20.3日
脳血管疾患 159,400人 89.5日
肝疾患 8,000人 25.8日
慢性腎不全 24,100人 62.9日
すべての入院 31.9日

ほとんど医療保険は、通常は入院1回あたり60日までの保障になっています。

上の表には、60日までを超える病気が3つあります。高血圧性疾患脳血管疾患慢性腎不全です。

高血圧性疾患と慢性腎不全は

入院1回あたりの保障日数を120日までに拡張すれば、ある程度余裕をもってカバーできそうです。

脳血管疾患は

120日までの保障で余裕があるとまでは言えませんが、それでもまずまず安心できそうです。180日までの保障なら、安心感はさらに高まります。

いずれにしても・・・

三大疾病や七大生活習慣病のために、日数無制限の入院保障は、過剰なようです。

あって邪魔にはなりませんが、重要度や優先度は低いです。

それ以外の病気・ケガによる長期入院に対応できない

これらの特約は、当然のことながら、三大疾病・七大生活習慣病以外の病気では役に立ちません。
三大疾病・七大生活習慣病以外で、入院が長期化しやすい病気は、どんなものがあるのでしょか?

やはり、厚生労働省の統計から、三大疾病・七大生活習慣病以外の、入院期間が60日を超える病気を抜き出しました。
ただし、入院患者数が1,000人以上の病気に限っています。

傷病名 入院患者数 平均在院日数
感染症等 1,500人 722.6日
認知症 29,800人 376.5日
薬品等の使用による障害 13,500人 98.9日
統合失調症等 165,800人 546.1日
気分障害(躁うつ病を含む) 28,800人 113.4日
知的障害 6,900人 422.6日
パーキンソン病 18,800人 143.1日
アルツハイマー病 47,000人 266.3日
脳性麻痺等 12,600人 350.6日
慢性閉塞性肺疾患 7,900人 68.1日

三大疾病・七大生活習慣病ほどの知名度はなくても、入院患者数が多くて、治療の長期化がもっと心配な病気は、いくつもあります。

こうして見ると・・・

入院の長期化を心配するなら、三大疾病・七大生活習慣病だけの対策をするのは、中途半端に見えます。

入院の長期化対策なら、入院給付金を120日以上

現在販売されている医療保険のほとんどに、三大疾病・七大生活習慣病に限って、入院給付金の保障日数を延長する特約があります。
中には、主契約にこの機能を組み込んでいる商品もあります。

というように、保険会社は前のめり気味ですが、その重要度・優先度は低いです。
むしろ、入院の長期化や費用の確保の点で、三大疾病・七大生活習慣病と同等かもっと怖い病気が複数あります。

長期入院を本気で心配されるなら、上でご案内した、入院給付金の保障日数を、120日かそれより長く延長する設定する方が、有効です。
まずは、そちらをご検討ください。


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保障内容と保険料とのバランスが決め手

入院給付金の1入院あたりの保障日数を延長する方法と、三大疾病・七大生活習慣病の入院に限って保障日数を延長する特約をご案内しました。

どちらの方法も、ほとんどの医療保険で対応可能です。ということは、医療保険を選ぶときは、保障内容と保険料とのバランスが決め手になりそうです。

それをスムーズにおこなうには、各社の見積もりを見比べつつ、専門家に保障内容の違いを確認しながら検討を進めるのが、ベストです。

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統計データや保険の商品内容については、慎重に扱っていますが、古くなっていたり、誤りがあるかもしれません。保険の専門家に相談した上で、最終的に判断を下してください。